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遺言執行、進んでいますか?こんな悩み、抱えていませんか
故人が遺してくれた大切な遺言書。その内容を実現するために指定された「遺言執行者」。しかし、その手続きが思うように進まず、途方に暮れてはいませんか?
- 遺言書に執行者が指定されていなかったり、辞退されて手続きが止まってしまった
- 遺言執行者に任せたものの、一向に手続きを進めてくれない
- 執行者や他の相続人と連絡が取れず、状況が全く分からない
- このまま放置して、何か大きな問題にならないか不安で仕方がない
もし一つでも当てはまるなら、それはあなただけの悩みではありません。遺言の執行は、法律や手続きが複雑に絡み合うため、さまざまな理由で停滞してしまうことが少なくないのです。
この記事では、司法書士として多くの相続問題に携わってきた経験から、遺言執行が進まない典型的なケースと、それぞれの具体的な解決策を分かりやすく解説します。読み終える頃には、絡まった糸を解きほぐし、あなたが次に取るべき行動がきっと明確になっているはずです。
【ケース別】遺言執行が進まない三大原因と具体的な解決策
遺言執行が滞る原因は様々ですが、大きく分けると3つのケースに集約されます。ご自身の状況がどれに当てはまるかを確認しながら、解決への道筋を探っていきましょう。
ケース1:遺言執行者がいない・辞任してしまった
「遺言書を開いてみたら、そもそも執行者が指定されていなかった」「指定されていた親族が、高齢を理由に就任を辞退してしまった」…こんなケースでは、遺言の内容を実現する人がいないため、手続きが完全にストップしてしまいます。
このような場合、家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立て」を行うことで、新たな執行者を選んでもらう必要があります。
【手続きの概要】
- 申立てができる人:相続人、遺言者の債権者など、遺言の執行に関わる利害関係人です。
- 申立て先の裁判所:遺言者が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所になります。
- 主な必要書類:
- 申立書
- 遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 申立人の利害関係を証明する資料(戸籍謄本など)
- 遺言書の写しまたは遺言書検認調書謄本
- 遺言執行者の候補者がいる場合は、その方の住民票または戸籍附票
- 費用の目安:収入印紙800円分と、裁判所からの連絡用郵便切手代が必要です。
誰を候補者にするかについては、相続人の一人や、私たちのような法律の専門家を立てることが一般的です。相続人同士の関係性が複雑な場合は、公平中立な立場で手続きを進められる専門家を候補者とすることをおすすめします。
手続きの詳細は、裁判所のウェブサイトでも確認することができます。
参照:遺言執行者選任申立て(裁判所公式)
ケース2:遺言執行者の仕事ぶりに不満がある・解任したい
「遺言執行者が、財産の調査を全く進めてくれない」「特定の相続人にだけ有利になるような対応をしていて不公平だ」といった不満を抱えている相続人の方もいらっしゃるでしょう。
遺言執行者がその任務を怠っているなど、正当な理由がある場合には、家庭裁判所に「遺言執行者解任の申立て」を行うことができます。
ただし、注意点があります。解任が認められるには、民法(第1019条)に定められている「正当な事由」が必要です。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 任務懈怠:正当な理由なく、財産目録の作成や相続人への報告といった職務を全く行わない。
- 不正な行為:遺言者の財産を不当に使い込んだり、隠したりする。
- 利益相反行為:遺言執行者自身の利益を優先し、相続人全体の利益を害する行為をする。
単に「執行者の進め方が気に入らない」「自分と意見が合わない」といった感情的な理由だけでは、解任が認められるのは難しいのが実情です。

解任の申立てが認められた後は、必要に応じて新たな遺言執行者の選任申立てを再度行うことになります。こうした一連の複雑な手続きは、専門家である司法書士が遺産整理業務としてサポートすることも可能です。
【司法書士おおもり事務所の解決事例】相続人と面識がなく、遺言執行が進まなかったケース
以前、当事務所にご相談いただいた案件で、遺言執行者の方が一部の相続人と全く面識がなく、連絡も取れないため手続きが完全に止まってしまったというものがありました。
ご依頼を受け、まずは家庭裁判所に事情を説明し、新たな遺言執行者を選任してもらうための申立てを行いました。その結果、当職が新たな遺言執行者として選任され、職務として相続人調査からやり直し、連絡が取れなかった相続人の方ともコンタクトを取ることに成功しました。
最終的には、全ての相続人にご納得いただける形で遺言の内容を実現することができ、長期間停滞していた相続問題を無事に解決へと導くことができました。このように、第三者である専門家が間に入ることで、複雑な人間関係が絡む問題も円滑に進められる場合があります。
ケース3:遺言執行者や他の相続人と連絡が取れない
「遺言執行者に就任したという連絡はあったきり、その後何の音沙汰もない」「相続人の一人が行方不明で、遺産分割の話し合いができない」といった、コミュニケーションの問題も手続きを停滞させる大きな原因です。
【遺言執行者と連絡が取れない場合】
まずは、内容証明郵便を送付して、職務の遂行を正式に催告することから始めます。これは、後々、解任の申立てをする際に「催告したにもかかわらず、対応がなかった」という証拠にもなり得ます。それでもなお応答がない、あるいは誠実な対応が見られない場合は、ケース2で解説した解任の申立てを検討することになります。
【他の相続人と連絡が取れない場合】
遺言執行者や他の相続人の立場から、特定の相続人と連絡が取れず困っているケースも少なくありません。この場合、まずはその方の戸籍附票(こせきのふひょう)を取得して、現在の住民登録地を調査します。2024年3月からは戸籍の広域交付制度も始まり、調査の利便性が向上しました。
それでも所在が不明な場合や、住民票の住所に住んでいない場合は、最終手段として家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任申立て」を行う必要があります。不在者財産管理人とは、行方不明の相続人に代わって財産を管理する人のことです。なお、遺産分割協議への参加など管理権限を超える行為が必要な場合は、家庭裁判所の許可(権限外行為許可)が必要になることがあります。この手続きを経て、ようやく止まっていた遺産分割協議などを進めることが可能になります。
これらの調査や申立てには専門的な知識が必要となるため、お困りの際は一度ご相談いただくのがスムーズです。
手続きの停滞を放置するリスクとは?早めの対処が重要
遺言執行に関する問題を「そのうち何とかなるだろう」と放置してしまうと、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
- 不動産の活用・売却ができない:遺言による名義変更が終わらないと、不動産を売却したり、賃貸に出したりすることができません。
- 預貯金が動かせない:故人の口座は凍結されたままとなり、預貯金の相続手続きが進まず、誰も資金を引き出せない状態が続きます。
- 相続税の申告期限に間に合わない:相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。手続きの停滞により、この期限に間に合わなくなる恐れがあります。
- 相続関係がさらに複雑化する:手続きが完了しないうちに相続人の誰かが亡くなってしまうと(二次相続)、権利関係がさらに複雑になり、解決がより一層困難になります。
問題が小さいうちに、できるだけ早く専門家に相談し、適切な対処を始めることが何よりも大切です。

遺言執行トラブルは司法書士へ。まずはお気軽にご相談ください
ここまで解説してきたように、遺言執行に関するトラブル解決には、家庭裁判所での手続きなど、法的な専門知識が不可欠です。ご自身だけで抱え込んでしまうと、時間と労力がかかるだけでなく、精神的なご負担も大きくなってしまいます。
私たち司法書士は、相続の専門家として、あなたのお悩みを解決するために具体的なサポートを提供できます。
- 家庭裁判所に提出する複雑な申立書類の作成
- 相続関係を明らかにするための戸籍謄本等の収集
- 他の相続人や関係者との連絡
- 遺言内容に基づく不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約手続き
司法書士おおもり事務所では、宇都宮市を中心に、相続に関するお悩みを抱える方々から多くのご相談をいただいております。何から手をつけていいか分からないという方も、まずは状況をお聞かせください。問題点を整理し、あなたにとって最善の解決策を一緒に考えさせていただきます。
まずはお気軽にお問い合わせください。相続に強い司法書士の選び方に迷われている方も、ぜひ一度お話をお聞かせいただければと思います。

私は栃木県那須塩原市(旧黒磯市)出身で、現在は宇都宮市を拠点に司法書士として活動しています。中学生の職場体験がきっかけで司法書士の世界に興味を持ち、相続や遺言、相続登記などをご相談いただくなかで、これまで県内で1,000件以上のお手伝いをしてきました。特に相続放棄や遺言書作成、不動産登記の分野では、気軽に相談できる雰囲気を大切にしており、初回相談は無料で対応しています。税理士や宅建士などと連携し、多面的な視点からお悩みに寄り添うことを心がけています。栃木の地域に根ざし、一人でも多くの方の安心を支える存在でありたいと願っています。
